YUKON
出国〜出発編
8月22日
初めての海外である。それなりに緊張していたのだが、結局準備はぎりぎりまで延ばし延ばしで、大慌てで佐渡ヶ島と落ち合う渋谷に向かう。
ある程度に荷物は先に現地に送ってあったのだが、結局115lザックいっぱいいっぱいになってしまった。さらにギターを抱えているので、バックパッカーというより変質者である。
初めての海外遠征、まあ普通の海外旅行なのだが、初めての出国である。
スタンプをもらったり、梅干しをもらったり、カツ丼を食ったり、まあまあ普通の日本を離れる人々がやりそうなことをひととおりこなして、飛行機に乗り込んだ。
海外といっても、8時間も飛行機に乗っているとカナダに着くという。そう考えると、北海道より近いのだ。但し前提として北海道には八甲田か鈍行で行くとしてであるが。
エアカナダの添乗員はお年を召した方々が多く、佐渡ヶ島と猪は不平不満を漏らしている。俺にとってみれば、ビールはくれるし飯はくれるし、至れり尽くせりで、恐縮してしまい、添乗員についてゆっくり考える暇もなかったのだが。
さらに機内食は2種類のうちから選択できる仕組みになっていて、その辺りも豪華さを演出している。もっとも2種類といっても、炊き込みご飯かビーフストロガノフ、とか、お粥かオムレツ、といったような無茶苦茶な選択を要求するので、こちらとしてもよほど真剣に考えないことには対処できないのであるが。
そうこうしているうちに、どうもこうもしていないのだが、あっという間にバンクーバーに着いてしまった。後半はずっとトイレに行くタイミングを計りつつしかし結局行かなかったので、それを考えてみると改めて近さが分かる。
しかし近いといっても全く違う国、カナダで何が日本と違うかと言えば、人々が英語を喋っているのである。これには驚いた。
俺の腰くらいの背の高さしかない子供でも英語がぺらぺらなのである。考えてみれば至極当たり前のことなのだが、今さら自分の不勉強さが身に浸みた。
バンクーバーからホワイトホースに向かう飛行機のなかでは、「ビーフ、オア、ラザニア?」と問いかけられた機内食を、「ビーフ、オア、オニオンサラダ?」と勘違いし、カナダでは牛肉とタマネギが同等に扱われるような地位にあるのかと、さっそく異文化を体験したつもりになってしまっていた。
さて、ホワイトホースである。とりあえず空港に今日泊まる予定のホステルの人が迎えに来ているらしいので、探す。ピノキオが大人になったようなご主人と、ピノキオを作った職人がまだ少年だった頃のような奥さんと、とりあえず会話を交わす。
しかし口をついてでた言葉は「ドモ。」だった。事務的なことは佐渡ヶ島と猪に任せ(なんと言ってもこの二人は共に海外在住経験を持つバイリンガルもどきなのだ)、チェックイン。まさかカナダについて初めて口にする酒が、日本から持参した栗焼酎だとは思っていなかった。
8月23日
記録部屋に戻っちゃうの