5月3日(木)
急行能登を今回は黒部で降りた。天気予報は雨、天気図を取ってみると谷が通過している最中である。しかし空は明るい。
宇奈月温泉の駅でゆっくり支度を整えて出発した。谷筋以外に雪は見あたらない。長く九十九折る林道をショートカットしようと、案内板にある怪しげな遊歩道に進んだ。怪しげな見かけ通り、よく分からなくなり、一汗かいただけでもとの案内板に引き返した。幸先の悪い始まりであるが、誰も周りにいないので恥をかかずに済んだのは幸いであった。
背後で物音がするので振り向くと、カモシカがいた。距離にして5m、お婆ちゃんが狭い路地裏から出てきたような風情である。お婆ちゃんなら声に出して挨拶をするのだが、カモシカは我々に気づかずゆっくり道路を横断していったので、そっとしておいた。
気を取り直して再出発。スキー場の中腹に山菜取りのおばちゃんと、カモシカが見えた。 登山道に入りしばらくして、ようやく雪を踏んだ。天気はほとんど快晴に近かったが、次第にガスが出始めた。林道が尾根を横切るところは、雪のない細いリッジの横の斜面をしばらくトラヴァースしてから夏道のあるリッジに上がった。石が浮いており、荷も重いので神経を使った。
林道をタクシーで追い抜いていったパーティのかすかなトレースを追いかけて行くが、ガスが深くなり始め、ついに雨になった。視界は20mくらいだ。1360のピョコを越えしばらく行くと、トレースは右にトラヴァースして無木立の斜面を横切っていた。視界が効かず状況も悪いので、トレースを無視、尾根に上がることにした。不安定な雪の上を注意しつつ1431ピョコを目指す。しかし、直下まで行くと、ピークから手前側に雪堤が出ており、その基部は雪も割れかけている状態だだとわかった。トレースがトラヴァっていた意味を理解したが、視界無く全体の状況がわからないので、1360ピョコ付近で今日は打ち切り、翌日の天気と相談して進退を決めることにした。
晩飯はクリームシチュウ。食後、水を作るにあたり、鍋をどの程度きれいにしてから行うか議論になった。味噌汁を作り紅茶を作ってから、ということに落ち着いた。出来た水にはクリームシチュウの風味はなかった。
5月4日(金)
朝起きると雨は止んでいた。かつてTWVで流行ったCCB(チーズコンビーフ茶漬け)を喰わすとヒロポンは喜んでいた。今日は晴れるようである。
テントをでてようやく1431ピョコのこちら側の状態が見渡せた。頂上から3〜40mは雪堤を乗越す必要があるが、トレースはその終わりにうまく続いていること、無木立の斜面は20m×20mの雪のかたまり状であること、そしてその上も下も雪が切れていること。
これを目の前にして、迷った。つまり、その雪のかたまりが落ちてしまうのではないかと心配したのだ。ここしばらく雪ではなく雨が降っているということ、今日は快晴で気温もぐっと上がるということなど、不安材料が多い。
しばらく考えた後、撤退を決めた。今は行けるだろうが、そのあとここを引き返すとき(今日の午後か明日)が怖い上、ロープを攻めに使うつもりでもない。いたずらに今リスクを増やすこともあるまいし、それに、久しぶりの山でもう十分楽しめた。
そう納得し、ゆっくりテントをたたみ、ゆっくり下山した。後立山連峰鹿島槍〜白馬から朝日が上がり、絵はがきのようだ。昨日全く見えなかった景色を眺めつつ下る。見えないが故脅えていた雪庇や雪堤も見えればなんということはない。
平和の像に7時半にはついた。今日の晩飯用のカレーのペミカンを、残しても仕方がないので2合の米と一緒に食べた。
5/3
7:40 宇奈月温泉発 9:07 平和の像 13:15 1431ピョコ手前 13:35 1360ピョコ
5/4
5:40 下山開始 7:30 平和の像